信州かくれ里 伊那山荘

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2011年 09月 18日

寄り道

久保田一竹美術館   (山梨県河口湖町)

 御坂峠の上り口、河口湖湖畔にあり近くに河口湖美術館や綾小路公磨の記念館や猿の大道芸劇場があるが寄り道したのはここだけ。
本館は、1000年を超す「ひば(ひのき科)」の大黒柱16本を使ったピラミッド型の建築物、とにかくこの建物が豪壮で、見る人を驚かす。頂点は13メートル、床面積200平方メートル。伝統的な職人の技と、現代的なログハウス工法の技との融合が成し得た複雑な木組みで、吹き抜け状の内部から、その木組みが全て見える構造になっている。
この建物に、久保田一竹のライフワーク「光響」の連作をはじめ、富士をテーマにしたいわゆる「一竹辻が花」の作品群及び代表作品が展示されている。
辻が花染めとは、室町時代に栄えた縫締紋の紋様染で、名称の由来は定かではない。始めは庶民の小袖から始まったと言われ、後に武家に愛され、高級品として一世を風靡する。しかし、江戸時代の初期、より自由に絵画的表現の出来る友禅の出現により、衰退を余儀なくされ、そしてその姿を消すことになる。
久保田一竹は21歳から2年間兵役に服し、敗戦後3年間極寒のシベリアに捕虜として抑留されている。暗く絶望的な虜因の苦しみを長く味わい、帰還後、残された半生を憧れつづけた「300年前に忽然と消えた」幻の辻が花染めに没頭し、生活の基盤であった手描友禅さえも捨て、辻が花研究を続け、還暦を迎えた年、創作「一竹辻が花」を発表している。
その作品が本美術館に展示されている。
すばらしい作品とは思うが、欲しいとは思わない作品である。むしろ室町時代の庶民の小袖がどのようなものであったのかに興味がゆく。時の流れにより、消えるべくして消えた染めのように思われる。
一竹美術館を構成する三大要素に「展示物」、「建造物」、そして「庭」がある。
庭は、琉球石灰岩、富士の溶岩、多種多様の植栽、渾々と湧き出る豊かな水とあいまり、独特な雰囲気を醸し出す。春には、桜、つつじ、新緑の木々そして多種多様の高山植物、秋には紅葉、冬には荘厳な富士と、四季折々の彩りを楽しめる。案内によれば、 紅葉の中で薪能が開催されているらしい。

by okasusumu | 2011-09-18 09:48 | 寄り道


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