人気ブログランキング | 話題のタグを見る

信州かくれ里 伊那山荘

donkai.exblog.jp
ブログトップ
2011年 09月 14日

工房に電気が通った

今井棟梁により工房に電気が通った。。工房に電気が通った_f0067937_1122282.jpg

これでろくろを回す事が出来る。棟梁が作った作業台を真似して、ろくろ台を作り、小道具を探し出し、ろくろを回し始めたのは午後6時を過ぎ暗くなっていた。
 ろくろはモーターが回転する若干の音を出す。工房はその音だけの世界になった。いや、外から森の声が聞こえてくる。ガサガサとは何の音だろう、誰かが近くに来たのだろうか。竹藪のざわめきはわかる。森を渡る風と木々の囁きも理解できる。しかし、時折聞こえてくる足音のような音は何だろう。
 気にしながら、蕎麦会席に必要と思われる蕎麦猪口、ぐい飲み、向付などを幾つか引いてみた。
ガサガサと大きな音がした。昼間の水道工事店の村上さんの話が蘇った。
「熊には気負付けてくださいよ。蜂蜜を採集していた時、小熊に襲われたお婆さんがいるんです。そのお婆さん、足を引っかかれ、頭にきたもんだから熊の足をかみついたのさ。熊は驚いて婆さんを振り払い逃げさって行ったらしい。おそらく親熊だって近くにいたと思うよ。親熊は、お婆さんを見てすごすごと引き返した、だって婆さんの口に歯が一本もなく、血が滴り落ちているものだから、山姥と思ったんだろうよ」
どこまで本当の話だか分からない。しかし、次の話は信じた方がよさそうだ。
「出会いがしらが危ないから、ラジオをかけて作業すると良いよ。向こうが先に気が付けば襲ってくることはないよ。裏山は栗だらけだからきっと来ているさ」
昼間の話を思い出しろくろを引くのをやめた。次はラジオを用意しよう。
ろくろ成形の後は高台の削り出しが必要だが、この場の乾き具合がどうにもわからない。適当にビニール袋をかけて終えた。
 翌日、別の事をし、削りのためにろくろの前に座った時はタイミングを失していた。固くなった土の削りは硬い物しか生み出さなかった。
工房に電気が通った_f0067937_94843.jpg

by okasusumu | 2011-09-14 11:27 | 黒河内窯


<< 寄り道      水道工事 >>