2011年 09月 14日
今井棟梁により工房に電気が通った。。 これでろくろを回す事が出来る。棟梁が作った作業台を真似して、ろくろ台を作り、小道具を探し出し、ろくろを回し始めたのは午後6時を過ぎ暗くなっていた。 ろくろはモーターが回転する若干の音を出す。工房はその音だけの世界になった。いや、外から森の声が聞こえてくる。ガサガサとは何の音だろう、誰かが近くに来たのだろうか。竹藪のざわめきはわかる。森を渡る風と木々の囁きも理解できる。しかし、時折聞こえてくる足音のような音は何だろう。 気にしながら、蕎麦会席に必要と思われる蕎麦猪口、ぐい飲み、向付などを幾つか引いてみた。 ガサガサと大きな音がした。昼間の水道工事店の村上さんの話が蘇った。 「熊には気負付けてくださいよ。蜂蜜を採集していた時、小熊に襲われたお婆さんがいるんです。そのお婆さん、足を引っかかれ、頭にきたもんだから熊の足をかみついたのさ。熊は驚いて婆さんを振り払い逃げさって行ったらしい。おそらく親熊だって近くにいたと思うよ。親熊は、お婆さんを見てすごすごと引き返した、だって婆さんの口に歯が一本もなく、血が滴り落ちているものだから、山姥と思ったんだろうよ」 どこまで本当の話だか分からない。しかし、次の話は信じた方がよさそうだ。 「出会いがしらが危ないから、ラジオをかけて作業すると良いよ。向こうが先に気が付けば襲ってくることはないよ。裏山は栗だらけだからきっと来ているさ」 昼間の話を思い出しろくろを引くのをやめた。次はラジオを用意しよう。 ろくろ成形の後は高台の削り出しが必要だが、この場の乾き具合がどうにもわからない。適当にビニール袋をかけて終えた。 翌日、別の事をし、削りのためにろくろの前に座った時はタイミングを失していた。固くなった土の削りは硬い物しか生み出さなかった。
by okasusumu
| 2011-09-14 11:27
| 黒河内窯
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梅、桜。桃の木の花の饗宴が終わると待っていたように凍土だった大地が芽吹きだす。数年前、雑草の中に数本あった花だが、背の高い草を採ると、増えだした。今やルピナスの丘だ。下の田に水が入る頃は美しい。 by okasusumu カテゴリ
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