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2011年 07月 23日

振り子反転のとき

 ミーイズムと地域社会
「自分は六十歳になったら農業をやめようと思っている」あるシンポジウムでの専業農家のパネリストの言葉です。
「農業はきつく年寄りには向かない。定年退職をしたら、農業でもやれば良いなどと、そんな甘いものではない」
おっしゃる通りです。
しかし、そうではあっても現状は食糧の自給率は四〇%と低く、耕作放棄地は広がる一方、林業は成り立たず、山も実際は放置されているのが実情です。
歪みがどこかに生じています。
 シンポジウムの主催者は、定年退職者の居場所探しに「緑と農」はどうかと具体的に提案をする形で分科会を設置しました。他の分科会は「新しい公共」そして 「地域創造」です。いずれも、経済成長とともに不明になった官でも民(私)でもない仕事を誰がやるのか、それぞれの分野で探る意図がありました。そして、 経済成長と共に成長し、間もなく退職をする人たちの地域デビューを狙いました。
 くだんのパネリストも同世代ですが「この世代は自己中心的で共同には馴染まないようだ」と体験談を交えて話します。世代間に考えや意識の違いがあるとは思っていませんでしたが、この話に、ふと頭をよぎったのが戦争でした。
彼らが生まれる直前まで、個人は自分の意見を主張しないで集団に追従していく社会で、戦争にまっしぐら。その反動は、明るい未来は個を尊重する個人主義に切り替えるところから始まるというものでした。
 彼らの成長とともに個人主義は膨らみました。集団よりも個を尊重する風潮は、経済的豊かさとともに「個」の自由が謳歌できる社会を作り上げました。
  引き換えに、郷土や国家と言った、本来、個を守っていた、さまざまな共同体を弱体化させてしまいました。衣食足りてその先にあったものは、家族や共同体の 崩壊と老齢化という現実です。
団塊ジュニアーが親世代に成長したこのごろでは、自分さえ良ければと言う人間が増えすぎています。自己中心主義というのか ミーイズムと言うのか公衆道徳が乱れ、社会が乱れました。教育やモラルが低下し、そして出生率を低下させ離婚率を上昇させました。まさに現代的問題です。 個人のみを尊重する生き方から地域社会を巻き込んだ共同体のあり方を考えなければ市民の不安は増大するばかりです。そろそろ振り子の反転のタイミングです。
大震災は、まんざらでもない日本人を浮かび上がらせました。なでしこジャパンの女子サッカーW杯優勝もいつもの日本人とは違う姿勢の女性を写し出しています。勝っても負けても泣きじゃくる甲子園の男子と違う毅然さがありました。振り子の反転、まだ遅くないようです。

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by okasusumu | 2011-07-23 09:07 | 里山逍遥


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