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信州かくれ里 伊那山荘

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2011年 06月 08日

棚田の復元(6)

自然循環のメカニズムを尊重
 放置され荒れた棚田の草を刈り、枯れた草を焼き払いました。さて次は、根の処理です。潅木があり、ススキの根は巨大になって膨れ上がっています。一筋縄では行きそうにありません。
 地元の農家の人に相談したところ、「除草剤をまいて、しばらく置けば、根が枯れて簡単だよ」と私たちの発想には、まるでなかった答えが返って来ました。便利な薬である事は、聞いていてよく分かりました。土に這いつくばっていた農民を、解放したのもこの薬です。
 農業は化学的になりました。以前は、肥料は、落ち葉などから作る堆肥や蓄糞など有機物でした。それが化学肥料になり、効き方が早く、確実なこの肥料は農業の 生産性を高め収量を多くしました。遅れて登場した除草剤も農民をびっくりさせました。今では農家の人はまるでお医者さんのように、畑の症状を診断して薬剤 を選んでいます。
 しかし、便利さや効率性との引き換えに何かが失われたはずです。有機無農薬の野菜がもてはやされるのが、そのことを物語っています。
 はっ きり言える事は、自然の生態系を無視していることです。自然は、生産者である植物、消費者である動物、分解者である微生物により循環のメカニズムが構成さ れています。農地ですから、自分で作った農産物をねこそぎ収穫するのは当然ですが、しかし、それでは分解者である微生物の役割がありません。以前なら落ち葉などによる堆肥、畜糞などの肥料が与えられ微生物も生きられました。それがなくなり、化学肥料が与えられるようになると分解者は不要です。
しばらくはそれで良かったのですが、最近、土壌の劣化が報告されるようになりました。微生物のいない土が悲鳴を上げ始めたのです。
 除草剤も土壌の微生物に悪影響を与える事は目に見えています。
せっかく農家の人に近代的な開墾の方法を教えいただいたのですが、私たちは大変でも、人の手でのんびりと掘り起こす事にしました。

by okasusumu | 2011-06-08 10:24 | 里山逍遥


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