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2011年 06月 08日

棚田の復元(3)

農村景観は生産現場の美しさ
 放置されて荒野となった棚田の草刈は思ったほど大変ではありません。元は田んぼですから、岩や竹があるわけではなく、草刈機が絶大な威力を発揮します。向か うところ敵はなく、当たるを幸いなぎ倒す楽しさがありました。振り返ると、そこになぎ倒した草の山があって、この達成感がたまりません。一通り、刈り取る と棚田らしさが現れました。四段九枚の田んぼです。
腰を下ろして、のんびりとその田んぼを見ていると、一枚一枚が、無念さを訴えているような気がしてきました。
 それらの田も、以前は美しく水をたたえ、数世代、あるいはそれ以上にわたって稲に沢山の穂を実らせ、そして長い年月の生産と生活の積み重ねを表現していたはずです。
 棚田に限らず、農村風景は現役の生産現場です。そこでは、時の流れの中で人が活動し、生活が営まれています。怠け者と言われないよう疲れを押して、草を刈った農家の嫁の涙も景観の肥やしでした。
 こうして時間の淘汰を受けながら農村は、景観美を磨き上げて来ました。ただ美しいだけではなく、懐かしさがあり、深みがあります。
 草を刈った元棚田の無念は、放置されことで生産が閉ざされ、歴史が途切れた事にあるのでしょう。
 美しさは、見る人の心の中にあります。好きなら、他の人が何を言おうときれいだとする「あばたもエクボ」もありますが、普通の場合はそれまで培ってきた価値観や美意識が基準になっていると思われます。
 京都のある大学で、学生にふるさとのイメージの絵を描かせたところ、少し以前の学生だったら当たり前に描いた山、川、田んぼが少数派になったとの報告を読んだことがあります。日本人の美意識、価値観が変わり始めています。
 そういえば、随分前から価値観や美意識の形成に、学齢前後の体験が貴重だといわれて来ました。
それでも、今の野山や川は魅力に欠けるのでしょうか、子供たちの声が、あふれる事は、ついぞありません。

by okasusumu | 2011-06-08 10:01 | 里山逍遥


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