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信州かくれ里 伊那山荘

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2011年 06月 08日

棚田の復元(2)

山里の文化景観
荒涼とした景観が眼下に広がっています。人間の営みが美しい農村を築き上げたと前述しました。ここは、その営みがなくなり、自然の営みに任せた地です。十 数年の放置で葦やススキに、悪名高き、アレチウリの蔓が絡みつき、一面を覆いつくしています。所々にある潅木はアキグミ、小川が流れていると思われるところに数本の柳が立っています。太さから十年はとうに過ぎている感じです。
 自然の営みに任せる前は、人の営みがありました。小川の水を引いて、稲作が続けられていたのです。
棚田が築かれる以前は、馬の背のような、緩やかな丘陵地の林だったに違いありません。最初に、ここを切り開いて、田にした人たちのことは知りませんが、彼らと自然との壮絶な格闘が、目に浮かんできます。
 木々を切り倒し、根を抜かなければなりません。水を蓄える田のことですから、耕作面は水平、耕作地を広げるため、斜面を多く切り取ります。水が抜けない工夫 も必要です。機械があった時代ではありませんので、その労力たるや、大変なものだった筈です。わずかな水を引き入れて、そして下の田に回します。渇水期な ど水の取り合いだった事は想像に難くありません。そして、長い時が流れ、田んぼは立派なものになって行きます。人の生き様を文化と呼ぶなら、棚田はまさに 山里の文化景観です。一枚一枚の田に貴重な物語があるに違いありません。
 そんな大変な思いをして築き上げた棚田が見捨てられ、今は自然の営みに任せています。
柳の太さから言って、国が経済力を求めて工業化を推し進め始めた頃のように思えます。その頃、この棚田から人の営みが消えました。とすれば眼前に広がる荒野は国が進めた経済力増強の副作用と言えなくもありません。
 あちらを立てればこちらが立たず、難しい事です。国の経済力は増したけれども、美しい農村に綻びが生じてしまいました。四月四日に閣議決定された「二一世紀新農政2006」に農業の担い手を増やすとありました。良いことです。
さて、眼下の荒野に入って、草刈を始めます。

by okasusumu | 2011-06-08 09:55 | 里山逍遥


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