2011年 06月 16日
里山は美しくない? クヌギやコナラ林の更新は、光を入れるためにある程度の範囲で全部を切り倒す皆伐をします。木陰では育たない陽性の性格だからです。ある年のこと、皆伐をした林の中で休んでいると、三人のハイカーらしい女性が近寄って来て、「なぜ、こんな横暴なことをするのか」とヒステリックにわめきたてました。初めは何 のことかと呆気に取られましたが、木を切る事を罪悪視するする人たちだったのです。山の部分を裸にしてしまったことに腹を立てています。 「陽 性である木の性質から、一定範囲をすべて切っている。昔からこのような方法で自然の再生をして来た」と説明すると二人は納得した素振りを見せたのですが、 がなり役の人は頑固な性格らしく食い下がり「自然は自然に任すのが良い」と言います。この山が民有林である事を知らないのかもしれません。 知床が世界遺産に登録され、原生の自然がもてはやされていました。 「里山は美しくないですか」これは私が彼女に投げかけた質問です。 「美しいわよ」そんな事を聞くなといわんばかりです。 「美しさを維持するために手入れをするのです」 「自然にむやみに手を入れるべきでないわ」 里山は放置して置けば昔ながらの美しい里山に戻ると思っているようです。 「でも、人は、気が遠くなるほどの間、手入れをしてきたのです」 彼女は皆伐を指して「こんなことをして来たのですか」 「そうです。自然任せを見せましょうか」 百聞は一見にしかず、三人を近くの林に案内しました。 知床の原生自然の美しさと違って、里山には、自然の営みだけでなく、人の営み、生活がかかった美しさがあります。その風景の優しさは細やかな人の手間ひまが生み出したものです。 「農家の手間ひまがなくなり危機がやってきました」 歩きながらの私のつぶやきは、何のことやらと思われたようですがアズマネザサに覆われて暗い、人を寄せ付けない不気味な林の前に立ち自分たちの過ちに気がついたようです。
by okasusumu
| 2011-06-16 14:34
| 里山逍遥
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梅、桜。桃の木の花の饗宴が終わると待っていたように凍土だった大地が芽吹きだす。数年前、雑草の中に数本あった花だが、背の高い草を採ると、増えだした。今やルピナスの丘だ。下の田に水が入る頃は美しい。 by okasusumu カテゴリ
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