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信州かくれ里 伊那山荘

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2011年 06月 09日

田植え(2)

安心できる食べ物作りなくして
 田植えは、あと少しのところで苗が足りなくなってしまいました。来年は秋田に帰って米作りをするという工藤さんが、パソコンを駆使して緻密に計算して苗作り をしたのですが、机上と現場との違いが出たようです。「計算は正しい。植えた間隔が少し狭かったのかもしれない」と工藤さん、確かに皆で植えた苗は、機械 植えのように真っ直ぐではなく、「曲が直ぐ」で幅も一定ではないようです。
 やむを得ず地元の農家の人に提供してもらった育苗箱の苗を植えざるを得 ません。それは機械植え用に作られた稚苗でした。田んぼの苗代で育てた私たちの成苗と比べると稚苗は温室育ちのひ弱さを否めませんがこれが普通に植えられ ている苗です。
 田植えの後に肥料を得て大きく育ち結果的には大差のない収量に納まるようです。岩沢さんが不耕起栽培を提唱するきっかけになったの は昭和五十五年の冷害の折、全滅状態の水田地帯の片隅で見た、たわわに頭を垂れる稲穂だったそうです。それはお年寄りが昔ながらの水苗代で育てた苗を使った稲でした。以来、「稲は鍛えたほうが本来の力を発揮する」と考えるようになったそうです。
「可愛い子には旅をさせ」式の子育てに似て厳しい環境で苗を育てます。種籾を冷たい水に一カ月近く浸したり、温水で発芽させた後に冷蔵庫に入れたりするのは胎児教育のようです。 
 会員の大多数が週末だけの野良人です。毎日稲の状況を見回るわけには行きません。機械は使えませんし、農薬や化学肥料をまくことには抵抗があります。
 ですから田植えの後は苗の自力に頼る以外ありません。不耕起栽培を学んだ理由です。病にも、虫にもそして少しの天候の変化にも負けない野性的な苗を期待したのです。多収を望んでいるわけではありませんので、私たちにとってはこの方法が最善と思うのですが、農家の人には、近代化に背を向けているような感じを与えるのか「そんな事は本業でないから言えることだ」と叱られます。
 でも、安心して食べられる物づくりへの挑戦なくして地域と都市住民の交流、対流など夢のまた夢で終ります。

by okasusumu | 2011-06-09 10:56 | 里山逍遥


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